棋譜の読み方
			
			 これまでチェスのルールを説明するのに、避けてきたことがあります。
			 それは、アルファベットや記号による解説です。
			 なぜならそれは、とてもわかりにくいものだからです。
			
			 しかし、あなたが強くなろうとするとき、過去の名人たちの対戦記録「棋譜(スコア)」を読むこともあるでしょう。
			 ですから、ここで簡単に説明していきます。
			 これを知らなくてもゲームはできるので、読み飛ばしてもらってもかまいませんよ。
			
			 チェス盤は8×8のマスがありますね。
			 それぞれのマスには番地がふられています。
			 次で説明しますので、じっくり見ないでください。目が痛くなります。
			
			
			 マスの番地を調べるには、下のアルファベットと左の数字を見ればよいのです。
			
			
			 では、こんなところでも問題です。
			 1手でクイーンを「c2」へ移動させてください。
			
				
			
			
			 駒はアルファベットの大文字で表します。
			
				|  | キング | K | 
				|  | クイーン | Q | 
				|  | ルーク | R | 
				|  | ビショップ | B | 
				|  | ナイト | N | 
				|  | ポーン | P | 
			
			
			 これだけ覚えれば、駒がどこへ動いたか表現できます。
			 「Qc2」と書いてあれば、クイーンがc2へ動いたことになります。
			
			
			 この「Qc2」に記号を付け足すことがあります。
			 ・ 相手の駒を取ったときは「Qxc2」とします。
			 ・ チェックだったときは「Qc2+」とします。
			 ・ チェックメイトだったときは「Qc2#」とします。
			
			 では問題です。以下の順番で、駒を動かしてください。
			 1.Rxh6(ルークで駒を取りh6へ移動)
			 2.Qf6+(クイーンをf6へ移動させチェック)
			 3.Rh8#(ルークをh8へ移動させチェックメイト)
			
				
			
			
			 今の問題に、黒の動きも付け足して記録すると、以下のようになります。
			 1.Rxh6 Kg7
			 2.Qf6+ Kg8
			 3.Rh8#
			 はい。これでスコア(棋譜)の完成です。
			 チェスは「白の1手目」→「黒の1手目」という表現なので、「1.」の横に2つ並びます。
			
			 下の図から「Re4」とするとき、どんな動きになるでしょう。
			 2通りありますね。こういう場合は、もともとの番地を付け足して区別します。
			
			 現在の番地は左のルークが「c4」。右のルークが「g4」ですね。
			 「4」は同じなので、アルファベットだけを付け足します。
			 「c4」のルークが「e4」へ移動したときは「Rce4」になります。
			 「g4」のルークの場合は「Rge4」です。
			 ルークが縦に並んでいる場合は、番地の数字だけを付け足せばいいですね。
			
			 ポーンの移動は「e4」というふうに、座標のみで表し「P」は付けません。
			 相手の駒を取ったときは、前にいた番地のアルファベットと「x」を付け足します。
			 下の図で説明します。
			 「c2」のポーンが「c4」へ移動したときは「c4」になります。
			 「g5」のポーンが、「f6」にいる相手の駒を取ったときは「gxf6」になります。
			
			
			 ポーンがプロモーション(昇格)したときは、「=」と駒のアルファベットを付け足します。
			 ポーンが下の図のように進み、クイーンにプロモーションしたときは「e8=Q」とします。
			
			
			 キャスリングをしたときは特別な表現をします。
			 右にキャスリングしたときは「O-O」とします。
			 左にキャスリングしたときは「O-O-O」とします。
			 ルークが動くマスの数だけ「O」が付くと覚えてください。
			
			
			 ゲームの終わりは、チェックメイトならば「#」が付くのでわかりますね。
			 しかし、降参や引き分けで終わったときは、勝負の結果を記入する必要があります。
			 白が勝ったときは「1-0」と最後に記入します。
			 黒が勝ったときは「0-1」と最後に記入します。
			 引き分けだったときは「1/2-1/2」と最後に記入します。
			
			 ここまで学んだことで、1ゲーム全てを表現することができます。
			 実際のゲームのスコアでは「!(良い手)」や「?(疑問の手)」が付いていることもありますが、駒の動きとは関係がなく感想のようなものです。
			
			 最後のまとめです。以下の順番で、駒を動かしてください。
			 1.Nxg4+
			 2.O-O-O+
			 3.a8=Q#
			
				
			
			
		
		
			レーティング
			
			 レーティング(棋力)とは、チェスの強さを点数にしたものです。
			 勝てば上がり、負ければ下がります。
			 自分のレーティングが上がることで、「強くなった」と実感できます。
			
			 国際レーティングがレーティングの主役ですが、ちょっと遠いお話ですね。
			 身近なところでも、レーティングを導入しているところがあります。
			 インターネット上で対局できる場所などです。
			
			
			 レーティングの高い相手に勝てば、あなたのレーティングは大きく上がります。
			 逆に、レーティングの低い相手に勝っても、少ししか上がりません。
			 レーティングの差が200あれば、75%の確率で勝つことができるといわれています。
			 4回戦えば、3勝1敗です。
			
			
			 チェスを覚えたばかりのあなたのレーティングは、500前後だとおもいます。
			 もちろん個人差はあります。
			
			 このあと紹介する「初心者用チェスゲーム - チェス入門β」でも、レーティングが測定できます。
			 手軽にレーティングを測定できるので、ぜひ試してみてくださいね。
			
			
			 以下が、あなたが目標とすべきタイトル保持者の、おおよそのレーティングです。
			 とんでもない数値ですね…。
			 世界チャンピオン:2800
			 グランドマスター(GM):2600
			 日本チャンピオン:2300
			
			 ちなみに、将棋の七冠タイトルを独占したことで有名な羽生善治さんはチェスもしています。
			 彼の国際レーティングは2382で、日本国内でトップです(2006年4月現在)。
			